国が認めた借金救済制度とは?「債務整理」の仕組みや条件、デメリットやリスクを知っておこう!
借金問題で毎月の返済に追われて日々の生活も満足に送れていない人にとって「借金救済制度」と聞くと、大変興味が湧く、利用したい!と思う方もいるのではないでしょうか?
借金救済制度とは、国が認めた借金減額の方法!
借金救済制度とは、法的な方法で借金を減らしたり借金返済の義務をなくすことが可能な手続きです。借金減額制度とも言われることがあります。
しかし、借金救済制度を利用した場合、借金を合法的に減額したり免除されるメリットがある一方で、デメリットやリスク、様々な影響があるのも事実です。また、「怪しいんじゃないの?」という意見も見られます。
借金救済制度の仕組みや利用条件、利用した場合に得られるメリットだけではなく、デメリットの内容を正しく理解した上で、あなたの状況に合った最適な方法で手続きを進め、借金の減額や根本解決に向けて動き出しましょう!!
借金救済制度の仕組みとは?怪しくないの?手続きの種類を紹介
国が認める借金救済制度とは、いわゆる「債務整理」のことを指します。
膨れ上がった借金が返済できなくなる人を救済することを目的で作られた手続きで、借金救済措置、借金減額制度などとも呼ばれています。
ひと言で「債務整理」と言っても、具体的な手続き方法はさまざまですし、得られる結果も当然異なります。
債務整理の主な手続きとしては、任意整理・個人再生・自己破産の3つが挙げられます。それぞれの概要は、以下のとおりです。
- 任意整理:債権者と直接交渉し、和解契約を結ぶことで、将来利息や遅延損害金のカット、返済期間の延長をして残りの借金を分割返済していく手続き
- 個人再生:裁判所に申し立て、返済計画を認めてもらうことで、借金を5分の1~10分の1程度に元金含めて減額し残りを分割返済していく手続き
- 自己破産:裁判所に申し立て、原則として一部の債務を除き(税金や養育費、罰金など)借金の支払いを免除する手続き
それぞれの詳しい手続きの内容を見てみましょう。
利息カットで借金返済軽減!任意整理の手続きについて
大まかな流れは、次のとおりです。
- 専門家へ相談・依頼する
- 債権者に受任通知を発送する
- 債権者に取引履歴の開示を請求する
- 利息の引き直し計算を行う
- 過払い金が発生している場合は返還請求を行う
- 債権者と交渉し、合意書を作成する
- 返済を開始する
ただし、返済が基本的には残るため、安定した収入があることが条件となります。
元本を含む借金総額を大幅カット!個人再生の手続きについて
大まかな流れは、次のとおりです。
- 専門家へ相談・依頼する
- 債権者に受任通知を発送する
- 裁判所に個人再生を申し立てる
- 個人再生委員が選任される
- 履行可能性テストが行われる
- 再生手続きが開始される
- 裁判所に再生計画案を提出する
- 書面決議が行われる(小規模個人再生の場合)
- 認可・不認可が決定される
- 再生計画通り返済を開始する
それぞれの手続きにかかる期間もありますので、早目早目に準備・手続きしましょう。
借金をなしに!自己破産の手続きについて
大まかな流れは、次のとおりです。
- 専門家へ相談・依頼する
- 債権者に受任通知を発送する
- 裁判所に自己破産を申立てる
- 破産手続開始が決定される
- 免責決定(同時廃止の場合)
- 破産管財人による財産調査が行われる(管財事件の場合)
- 債権者集会が行われる
- 異時廃止または配当手続きが行われる
- 免責許可・不許可が決定される
自己破産をすると財産は全て没収、その後の収入も全て没収されてしまうのでは?と勘違いされている方もいるかもしれませんが、一定額以下の財産は手元に残せますし、自己破産の手続き後の収入については没収はされません。
債務整理の各手続でで借金減額することのメリット・デメリット
借金救済制度(借金救済措置)で借金減額することは、債務者に取っては大きなメリットではありますが、逆にデメリットやリスクもあります。
それぞれ詳しく確認しておきましょう。
任意整理は裁判所を通さず交渉可能!メリット・デメリットをチェック
債務者が直接債権者と交渉して、将来発生する利息をカットする債務整理の方法「任意整理」は、「元金」は減りませんが、将来発生する「利息」が削減されることになり、結果として返済総額を圧縮することが期待できます。
残った元金は、およそ3~5年で分割して返済することになります。
- 手続きの負担が少ない
- 誰にも知られずバレずに、手続きすることができる
- スピーディーに手続きを完了することができる
- 整理する債務を選べる(借金全てを手続きする必要なし)
- 過払い金で借金完済ができれば、ブラックにならない
- デメリットが少ない
- ブラックリストに登録される
- 安定した収入が見込めない場合は利用不可
- 債権者が認めてくれないとできない
- 利息分のみのカットなので、大きな減額ができない場合がある
家は没収されず残せる「住宅ローン特則」あり!個人再生のメリット・デメリット
借金を大幅に減額しつつ、住宅ローンの残ったマイホームを守ることができる債務整理の手続きが「個人再生」です。
借金の返済計画を記載した「再生計画案」を提出し、その通りに返済していくことが求められます。
減額後の残った借金は、原則3~5年で返済します。
- 借金の減額効果が高い(1/5~1/10くらい)
- 住宅資金特別条項(住宅ローン特則)によって、住宅ローンを払っているマイホームを守れる
- ギャンブルや浪費の借金も手続きできる
- 車や家、株式などの資産を手放さなくて良い
- 職業や資格に制限がない
- ブラックリストに登録される
- 手続き後も返済が続くため、安定した収入がある必要あり
- 手続きが複雑で費用も高め
- 官報に掲載される(氏名・住所など)
- 返済の義務が保証人や連帯保証人に移ってしまう
一定額以上の財産がなくなるが、借金返済の義務免除!自己破産メリット・デメリット
自己破産は免責が認められれば、借金(税金や罰金、養育費など一部対象外)から解放されることになります。
- 借金がゼロになり、今後の返済はなくなる
- 手元に残せる財産(自由財産)あり
- ブラックリストに載る
- 資産価値のあるものは処分され返済に充てられてしまう
- 官報に掲載される(氏名・住所など)
- 返済の義務保証人や連帯保証人に移ってしまう、最悪の場合その方たちも自己破産になってしまう可能性が…
- 職業の制限がある(手続き中のものだが、復権までに時間を要する場合や解雇となる可能性もある)
- 引っ越しや旅行に制限がかかる(手続き中)
- 郵便物が管理されてしまう(手続き中)
債務整理の手続きによって、それぞれメリット・デメリットはありますが、債務整理共通のデメリットとして「ブラックリストに載る」ことが挙げられます。
ブラックリストに載ると、最低でも5年間~10年間(債務整理の手続きによって期間は異なります)は、以下のような制限を受けることになるからです。
- 新規ローン(住宅ローンなども含む)の審査が通らない
- 所有しているクレジットカードが使えなくなる
- 新しいクレジットカードを作ることができない
- 携帯電話(スマートフォン)を分割払いで購入できない
- 借金の保証人になれない
- 賃貸住宅の契約時に保証会社が利用できない
借金が「減らせたり」「ゼロにしたり」できる訳なので、その代償は大きいです。あとあと「債務整理しなければよかった」「債務整理したけど意味なかった」とならないために、デメリットの許容範囲内での債務整理の方法を選択しましょう。
例えば、数年後にカーローンを組んで車を買いたいとか、近々スマホを分割払いして手に入れたいという場合には他の方法を取るほうが良い可能性もあります。
借金救済制度「債務整理」を利用するための費用・手数料
借金救済制度(債務整理)の手続きを個人で行うことも不可能ではありませんが、専門的な法律知識がなければ、書類の作成や債権者との交渉などが困難なので、基本的に弁護士や司法書士に依頼することになるでしょう。
債務整理の手続きを弁護士や司法書士に依頼した場合の費用の内訳や相場は以下のとおりですので、債務整理を依頼する場合は、是非参考にしてみてください。
任意整理は費用お安め!
任意整理は裁判所を介さないで手続きできるものなので、裁判所費用は発生しませんが、着手金や報酬金、減額報酬という名目の費用が発生します。
- 着手金:弁護士や司法書士に依頼するときに掛かる費用
- 報酬金(基本報酬):債権者が交渉に合意し、任意整理が成立したときに発生する費用
- 減額報酬:借金減額に成功した弁護士や司法書士に支払う報酬
報酬金や減額報酬が0円の事務所もありますが、その分着手金が高額だったり、事務所によりその金額は異なりますので、よく確認しましょう。
個人再生は費用お高め!
債務整理の中では費用が最も高いです。最低でも70万円以上は必要になります。
- 個人再生委員:報酬に約20万円
- 弁護士・司法書士への報酬:50万円以上
個人再生委員とは、個人再生の手続きを適正に行うために指導や監督をし、裁判所に意見を述べる役割の人のことで、この報酬は、原則「現金」で一括納付しなくてはいけません。
また、住宅ロ―ン特則を利用する場合は、利用しない場合に比べて弁護士や司法書士への報酬が10万円ほど高くなります。
自己破産は同時廃止なのか管財事件なのかで費用が大きく変わってくる!
同時廃止事件(財産を持っていない場合)になるか管財事件(財産を持っていて債権者に分配する場合)になるかで費用が大きく異なります。
- 同時廃止事件:約20~30万円
- 管財事件:約50~80万円
先ほども記載しましたが、任意整理の場合、裁判所費用はほとんどかかりませんが、個人再生や自己破産の場合でも、個人再生委員や破産管財人が選任されなければ、負担は数万円程度で済みます。
そもそも弁護士や司法書士へ依頼する費用が支払えない場合は法テラス利用も検討してみて!
法テラスなどの民事法律扶助業務の制度や、市区町村が実施している「無料相談窓口」などを利用するのも一つの手です。
ただし、民事法律扶助業務は月収や保有財産など、いくつかの条件を満たし、審査を通過しなければ利用することが出来ません。
また、債務整理を担当する弁護士をこちらから選べないデメリットもあります。
法テラスに登録している弁護士や司法書士もいますので、先ずは弁護士や司法書士がいる法律事務所で債務整理について相談してみましょう。
任意整理が無料になるかも!?日本クレジットカウンセリング協会のカウンセリングを受けてみて!
日本クレジットカウンセリング協会という機関をご存知ですか?公益財団法人日本クレジットカウンセリング協会(JCCO)は、消費者を保護するという立場で、カードローンやクレジットカードを利用して多重債務に陥った方、多額の借金を抱えている方に対して、公正・中立なカウンセリングをしてくれるところです。
電話相談・カウンセリングが無料。ここで借金返済の方法を模索し、「任意整理」で解決できそうという判断がおりれば、無料で任意整理の手続きに進み完済を目指すことができます。
救済制度(債務整理)以外の借金問題解決の方法
債務整理を行なうとデメリットや費用が発生することから、それ以外の方法で借金問題を解決したいという方は、以下の方法を実践しましょう。
繰り上げ返済で「元金そのもの」を減らす
賞与や臨時収入があった場合は、通常の返済とは別に「繰り上げ返済(臨時返済)」や「一括返済」をして、借入残高を減らしましょう。
毎月の返済にプラスする必要があるため負担はかかりますが、繰り上げ返済分は元金に充当されますので、元金を減らすことで利息を減らす効果もあります。
収入を増やして「毎月の返済額」を増やし、借金総額を減らす
出費を減らして節約することも大事ですが、収入自体を増やすことも検討しましょう。
収入を増やす方法として考えられるのは、通常の仕事以外にも働く「副業」です。
仕事が終わった後や仕事がお休みの日にアルバイトをするという方法から、現在はパソコンや趣味を活かして在宅で仕事をするという方法もあります。
日常生活を見直し、節約を心掛けて、支出額を減らす
支出する金額を減らすために、現状の収支をしっかりと把握することが大切です。その上で、日々の生活を見直し節約しましょう。
- 水道光熱費を抑えた生活をおくる
- 携帯電話を格安スマホに変更する
- 家賃が安いアパートへ引っ越す
- 保険を見直す
固定費を下げることで毎月の支出額を減らして、できる限り借金返済に充てましょう。
債務整理はメリット・デメリットを認識し、自分に合った方法を選択して手続きしよう!
法律で認められている借金減額または免除を目的とした「債務整理」であれば、借金救済を目的とした制度なので、あなたの借金問題をきっと解決へと導いてくれるでしょう。
借金救済制度である「債務整理」には、任意整理や個人再生、自己破産などがあり、現在のあなたが置かれている状況や今後どのようにしたいのかによって選択する方法が異なってきます。
債務整理は債権者との交渉であったり、裁判所へ提出する必要書類の準備や作成といった手続きが必要になり、法的な知識が必要になります。
そのため、債務整理を行なう場合は専門の弁護士や司法書士に依頼することをお勧めします。
債務整理のどの方法を利用しても「一定のリスク」「デメリット」が発生しますが、その一方で借金を気にすることがない生活を取り戻せる可能性があります。
特に気になる「ブラックリストに載る」という部分ですが、デメリットもありますが、目の前の解決できない借金返済という問題の方が大きいと認識し、債務整理で「借金問題を解決するための第一歩」を踏み出すことの方が大事ではないでしょうか。
借金問題から心身共に解放されるためにも、前向きに検討して一日でも早く行動に移しましょう。